全血半血姉妹相続並びに名義預金税務調査対応事案
お客様のご状況
今回ご相談を頂いたのは、被相続人と父母を同じくする妹(全血)と、父は同じで母を異にする姉(半血)が相続人、所謂全血半血姉妹相続の事案です。被相続人のお父様が二度婚姻をされており、婚姻毎に娘さんがおられた、という事情です。尚、実際には、半血の姉は既に死亡していたため、その娘二人(全血の妹からすると姪)が代襲相続人でした。
ご相談者は、全血の妹御様とその方の実の娘さんです。
本件においては、被相続人が公正証書遺言を遺しており、全財産を全血の妹に相続させる、との内容でしたので、ほとんど行き来のない代襲相続人(姪)との遺産分割協議は不要でした。
更に、法律上、兄弟姉妹には遺留分が認められておらず、姪御さんお二人は、遺留分侵害額請求をすることができないため、遺言通り、被相続人の全財産は、全血の妹御さんが相続されました。
当事務所からの提案
相続財産は、小規模宅地特例適用の無い少数の不動産と、預貯金、有価証券等の金融資産でほぼ全てであり、評価額としては、金融資産が相続財産の大半を占めていました。
ここまでは、大変シンプルな内容だったのですが、相続発生日に近接する時期の被相続人と相談者の預金口座の異動状況を確認したところ、被相続人名義口座から相談者名義口座への異動が頻繁かつ相応の金額でなされていることが判明しました。
そこで、上記預金異動の詳細を検証し、所謂名義預金として、相当額を相続財産に計上することをご納得頂いて、申告のための作業を進めました。
実施内容
相続税申告のご相談を頂いたのは、法定申告期限の約2ヶ月前でしたが、遺言があったことや、相続財産がシンプルであったこともあり、上記口座間異動の分析に手間を要した点を除いては、円滑に期限内申告・納税を終えることができました。
結果
当初申告より約1年半経過したところで、税務調査が入りました。主たる目的は、名義預金調査です。
弊法人は、当初申告時には、相談者から提示された資料の範囲内で、口座間異動を詳細に調査し、相続財産とすべきものは「預け金」として計上して申告を行いましたが、税務署は、それ以外にも被相続人相談者間の資金異動の事実を把握し、調査に及んだようです。
ご相談者は、税務署が把握し指摘した「新たな」事実について認め、相続財産の追加計上と、相続税本税の増差税額、過少申告加算税、延滞税の納付に応じられました。
調査の最後で、調査官が、重加算税課税について示唆し始めたので、弊法人税理士より、相談者側に仮装隠蔽の事実は無く、断じて認められない旨主張、これにより調査官を納得させ、重加算税課税は回避できました。
重加算税は、納税者にとって多くの負担がありますので、課税を回避できたことについて、ご相談者より謝辞を頂きました。
専門家からのワンポイント
今回の事案では、被相続人が生前に遺言を作成しておくことで、相続人を事前に明確にする、遺産を相談者に円滑に承継させる等の対応がなされていました。
遺族が相続手続きで精神的、物理的な負担を強いられることを未然に防止する観点からも、遺言を有効に活用する必要を改めて認識しました。
更に、相当額の金融資産を移転させる際は、税務面での検討を十分に行う必要があることを強調したいと思います。
今回のご相談者もそうでしたが、何ら他意なく資金移転がされ、それが後から大きな問題となって降り掛かってきました。
相続、贈与は、大変奥が深く、一般の方が適切に対応するのは非常に困難です。
是非、早い段階から専門家にご相談されることを改めて強く訴えたいと考えます。
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