配偶者と長男が相続人、相続財産中に上場会社の関連会社の株式があったケースの解決事例
お客様のご状況
今回ご相談を頂いたのは、被相続人が高齢の男性で、相続人が、配偶者である奥様と一人っ子のご長男、計2名という一次相続事案です。ご相談者は、ご長男でした。
被相続人と、弊法人の職員の親族が知り合いであったご縁で、弊法人にご相談を寄せられたという経緯です。
当事務所からの提案
相続財産は、被相続人夫妻の自宅であった土地・家屋と、別宅である土地・家屋、預貯金、上場有価証券でほぼ全てでした。
相続財産は容易に評価できるものがほとんどであった他、相続発生日に近接する時期の被相続人の預金口座の異動状況にも特筆すべき点は見当たらなかったので、財産評価は円滑に実施できました。
上述の通り、当案件自体はシンプルであった一方で、奥様が多額の有価証券を保有されているため、二次相続まで含めた遺産分割を検討する必要がありました。
当方より、一次相続、二次相続双方のシミュレーションを何通りか作成し、一次二次通算での納税見込み額をお示しして、ご相談者に比較検討を頂きました。
実施内容
相続財産中に、上場会社の関連会社の株式があり、地方新聞の投資欄に気配値が掲載されていたこともあり、取引相場のない株式に区分付けするところから始めないといけなかったので、評価に当たり工夫を要しました。
通常のような、評価対象会社の税務申告書一式の提出は無く、株主向けの小冊子(有価証券報告書の簡易版のようなもの)を基にして株価評価を行いました。微妙な判断を要する部分があったので、外部機関の支援を受けつつ、最終的には、取引相場のない株式であると確定し、配当還元方式にて評価しました。
自宅土地は、倍率地域所在で、地積1000平米超(三大都市圏外)でした。固定資産税評価額×倍率による評価額と、路線価地域であるとした場合の地積規模の大きな宅地の評価による評価額を双方算定し、結果的に後者の評価額の方が低かったので、こちらを採用しました。
併せて、小規模宅地(特定居住用宅地)の評価減も適用しました。
結果
上記実施内容に記載の、株式、不動産の評価において、評価額を抑えることができたことに対し、ご相談者から謝意を頂きました。
相続税の申告・納税は無事完了し、引き続き、二次相続に向けた相談対応についてのご依頼を頂いております。
専門家からのワンポイント
一次相続の場合は、被相続人の配偶者固有の財産内容についても必ずヒアリングすることを肝に銘じています。
配偶者の税額軽減を適用して遺産分割することが必ずしも最適解ではない、ということを確りお伝えし、お客様を正しい方向にお導きする、ということを、今後も専門家として心掛けていく所存です。
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