認知症の相続人2名あり、成年後見人選任も行いつつ遺産分割協議を成立させた、相続人9名の解決事例
お客様のご状況
今回ご相談を頂いたのは、被相続人が、ご主人とお子さんを亡くされ、高齢者施設に入居していた高齢の女性で、相続人が兄弟姉妹及び代襲相続人の甥姪、計9名という事案です。
ご相談者は、被相続人の身元引受人である末弟の方でした。
被相続人は、生前、成年被後見人であったことから、ご相談者は、成年後見人から被相続人の財産状況について情報提供や管理引継ぎを受けていたので、葬儀が一段落した後、すぐに相続手続に着手されていました。
手続きを進めていく中で、被相続人の実妹である2名の相続人が認知症であることが判明し、相続預金解約や不動産の相続登記等を進めることができなくなってしまったため、お困りになり、弊法人にご相談を寄せられたという経緯です。
当事務所からの提案
相続財産は、施設入居までの自宅であった不動産と、預貯金でほぼ全てであり、評価額としては、金融資産が相続財産の大半を占めていました。
相続財産は大変シンプルなものであり、相続発生日に近接する時期の被相続人の預金口座の異動状況にも特筆すべき点は見当たらなかったので、財産評価に手間はかかりませんでした。
一方、重要な課題として、認知症の2名の相続人を相続手続きにどう関わらせていくか、方向性をお示しする点がありました。
当方より、遺産分割協議を成立させるためには、成年後見人を選任する必要があることを説明、成年後見の実務に精通した司法書士に協力を仰ぎ、選任手続きを進めていきました。
選任作業に着手してから家庭裁判所の選任決定が下りるまでに、約3ヶ月を要しましたが、何とか成年後見人が決まりましたので、遺産分割協議を進めていくことになりました。
実施内容
成年後見人が選任されてからも、成年後見人が成年被後見人の財産状況を把握し、後見事務を実質的に開始するまでには相応の時間を要しましたので、遺産分割協議の内容が固まったのは、法定申告期限直前でした。
コロナ特例により、申告期限延長の申請を行い、申告期限を延長させたうえで、期限内申告・納税を終えることができました。
尚、被相続人は、当人を含め、7人きょうだいですが、そのうちのお一人(故人)は、母は同じで父を異にする、所謂半血の方でしたので、その方のお子さん方(代襲相続人、2名)の法定相続分は、他のいとこさん方の2分の1となります。
ただし、相続人の皆さまから、そういった事情は考えず、全血のきょうだいであったという前提で相続分を算定して欲しいとのご要望があり、当方はそれに沿って遺産分割案を作成しました。
結果
相続税の申告・納税を終えた後も、各相続人への遺産の配分についてのご支援のご依頼を、ご相談者から頂いております。
預貯金の解約、相続財産の資金化状況管理、資金振込手続支援、不動産相続登記に当たっての司法書士との連絡等、内容は多岐に亘っています。
他の相続人からの各種照会にも対応する必要があります。
これらの事務をご相談者が全て行うことは、相当のご負担となると思われますので、少しでも負担軽減に役立てる様、引き続き、ご支援に努めて参ります。
専門家からのワンポイント
今回の事案では、認知症の相続人があり、遺産分割協議を成立させるために成年後見人を選任することが必須でした。
成年後見実務に精通した他士業との連携により、無事納税者のお困りごとを解決できました。
今後も類似事案は増加することが見込まれますので、今回の経験を活かして、お客様からのご相談に適切に対応していく所存です。
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