これだけは知っておきたい 相続のイロハ(5)
死亡日から10ヶ月を超えて相続税申告を行った事例
今回は、前回の続編として、私が実際に手掛けた事案、相続開始日の翌日から10ヶ月を超えて相続税の期限内申告を行った事案をご紹介致します。
【前提となる事実関係】
×3年6月19日 被相続人死亡 相続人は兄弟姉妹、甥・姪の計9名
相続人のうち、2名が認知症であったため、このままでは遺産分割協議は成立不能。
相続人代表者から本相続案件のご相談があったのが相続発生から2か月後で、知り合いの司法書士と連携して上記2名の認知症相続人に成年後見人を選任する手続きに着手。
×4年1月上旬 後見開始の裁判確定 登記完了
×4年7月下旬 遺産分割協議書に相続人及び成年後見人の署名押印完了
成年後見人選任後、成年後見人が本事案の内容の把握を行うのに時間を要したこと、新型コロナの影響で、相続人間の遺産分割案の調整が難航したこと、といった要因が重なり、遺産分割協議に時間を要しました。
【実際の相続税申告までの流れ】
成年被後見人である2名の相続人の法定申告期限は、成年後見開始の決定日の翌日から10ヶ月であるため、×4年11月が期限ですが、認知症でない7名については、×4年4月19日が相続税申告期限でした。
通常は、この日までに法定相続分で申告、納税を終えておき、遺産分割協議が完了したところで修正申告、という流れになりますが、諸事情により、この対応が取れませんでした。
本事案では、所轄税務署と打ち合わせのうえ、×4年7月中旬に、新型コロナウイルスの影響を理由として、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出、上記7名について、期限延長対応を行いました。その後、×4年8月15日に、期限内での相続税申告、納税を完了させました。
【本事案を終えての振り返り】
今回は、税務署から期限延長の承認が得られたため期限内申告となり事無きを得ましたが、税務署の承認が得られない場合は、期限後申告となる可能性が否定できません。
成年後見人の選任には相当時間を要することを見越し、相続開始後10ヶ月以内での法定相続分による申告及び納税、そして、遺産分割協議完了後修正申告、という流れで対応すべきであると考えます。
今後も、相続人のうちに認知症の方がおられる事案は増えてくることが予想されますので、本事例で得たノウハウを今後の実務に活かしていく所存です。
何回かに亘り掲載してきました、「これだけは知っておきたい 相続のイロハ」のテーマについては、今回で一旦とさせて頂き、次回は、新たなテーマでコラムアップして参ることと致します。
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