これだけは知っておきたい 相続のイロハ(2)
前回より、相続のイロハとして、これだけは知っておきたい、と私が考えていることをご紹介しております。今回は、その続きとして、遺言に関係する内容について取り上げさせて頂きます。
テクニカルな内容は、他の媒体で詳しく紹介されていますので、そちらに譲りたいと存じます。
遺言で定めれば何でも思い通りにできるのかという点
遺言の主なメリットとしては、下記の点が挙げられます。
①所謂「争族」問題を回避できる
②遺産分割協議を省ける
③面倒な相続手続きを最小限に抑えられる
④自分の財産を思い通りに配分できる
確かに、遺言をすることで、そうでない場合に比べて多くの良い点がありそうですが、④については、遺言で何でも思い通りにできるのか、というと、実は一定の制限が設けられています。これを、「遺留分」といいます(慰留分ではありませんのでご留意を)。
遺留分
遺留分とは、文字通り、相続人に「留め遺す」、つまり、遺言によっても全ての相続財産を被相続人の意向通りに処分することはできず、一定割合は、相続人に留保される留保分のことを指します。遺留分の割合は、基本的には、法定相続分の2分の1(父母の場合は、3分の1)です。尚、兄弟姉妹(けいていしまい)には、遺留分はありません。
つまり、自分の財産であっても、偏った配分の場合(一人に全財産をあげます、という場合等)には、遺留分のルールが働き、一部は自分の思い通りに処分できない、という場合があるということになります。裏を返せば、バランスの取れた配分を内容とする遺言をしておけば、このような事態は生じないこととなるわけです。
遺留分に関する問題は優れて複雑な法律問題
不幸にして遺留分問題が現実になった場合は、弁護士の出番となります。複雑な法律問題となる可能性を秘めているからです。
以下、論点になりそうなテーマを3点ご紹介します。
1.遺留分侵害額請求(数年前までは、遺留分減殺請求といわれていました)
遺留分を侵害された相続人が、財産を貰い過ぎた相続人に、金銭での弁償を求めるために行います。
2.遺言書無効確認
遺留分を侵害された相続人が、そもそも遺言が有効に成立していないことを求めて訴訟提起することが考えられます。
遺言が無効になれば、遺産分割協議に持ち込み、自分の主張を反映させる機会を確保できます。
3.遺留分侵害額計算の際の財産評価
遺留分侵害額計算の根拠となる遺贈財産の評価時期は、相続開始時を基準とする、とされています。
遺留分をできるだけ多く確保しようとすれば、遺贈財産の評価額が高くなるようにすればよいわけですから、遺留分権利者が評価額が高くなる方向で主張することが考えられます。
いずれも、簡単ではない法律問題に発展しそうな感じがします。
このような事態にならないように、遺言を作成する場合には、先のことを十分に考えましょう、という点を強調したいと思います。
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今回も、最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
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